市場スタッフに聞く“船橋市場の歩き方”
月に1度、特集記事を掲載して参ります!!
第一弾は市場スタッフに聞く“船橋市場の歩き方“です。
みなさん!船橋市地方卸売市場の中に入ったことがありますか?
船橋市場は、JR船橋駅から歩いて約15分。 海老川が敷地の真ん中を通っていて、船橋市民の散歩コースにもなっています。
今日は船橋市地方卸売市場総務課の重藤祐佳(しげとうゆか)さんに、市場を案内していただくことになりました。
重藤さん、よろしくお願いします!
「荷物を集めて、船橋市にまんべんなく配ります」
ここ船橋市場では、卸売業者や仲卸業者など非常に多くの業者さんが営業を行っています。
卸売業者は、千葉県内のみならず日本全国から、ときには世界から、品物を集荷します。
市場に集まった品物は、せり売や相対売で仲卸業者や売買参加者に引き取られていき、仲卸業者や売買参加者から量販店や飲食店、一般消費者へと流れていきます。
「市場の仕事は、産地と交渉して日本全国から荷物を集め、それを船橋市や近隣市に住んでいる消費者にまんべんなく行き届くようにすることです」と重藤さんは言います。
では、実際に市場の中に入ってみましょう!
「ここが正門です。さ、中にどうぞ!」
正門を入って右奥にある建物は、管理庁舎です。
「私もふだんはここで仕事をしています」
特別に卸会社の事務所に入らせていただきました。
青果部と水産物部が伝票整理をしているところでした。
「野菜や果物などの青果物を取引」
では青果物が取引される場所に行ってみましょう。
青果物卸売場
「この広~い青果物卸売場」では、果物や野菜の取引が行われます」
この日、青果物の中で長ネギがせりにかけられていました。こんな感じでせりを行うそうですよ。
午前7時からせりが始まりますので、地元の農家の方は、その前に野菜を持ち込みます。
せりは、1番高い値をつけた人が購入できる取引の1つです。
これとは別に、卸売業者と仲卸売業者が個別に値段を決める相対売りも、ここで行われています。
船橋市場ではダンボールだけでなく、ほうれん草や小松菜などの葉物を中心に、折りたたみ式のコンテナを活用し、省資源化やコストダウンに努めています。
青果低温卸売場
青果物卸売場一角には、カーテンで仕切られた場所があります。
暑さに弱い葉物の野菜などは、ここで冷房をかけて取引されます。
青果の予冷庫
ここは予冷庫。天井に冷房器具が取り付けてあり、温度管理が必要な野菜や果物を一時的に保管しています。
約5度~10度で温度管理されていて、品質を落とさず冷やした状態で保管できます。
産地から保冷されて入荷したものを、ここから運び出すときも保冷車で運ぶというコールド・チェーンという仕組みによって、食卓で美味しく食べられるようになるわけです。
「要望に応じた形に加工して出荷」
青果物加工センター
市場で販売された野菜は、段ボールで引き取られていくと思っていたのですが、そればかりではないようです。
「いまは袋詰め等をしてから引き渡すことが多くなっています。箱から出して、すぐに陳列棚に並べたいというご要望が多くなりました。その加工をするのが、ここ青果物加工センターです」
みなさんが手際よく野菜をパッキングしています。スーパーマーケットなどで見かける形ですね!
「魚介類、その加工物などを取引」
まぐろ低温卸売場
こちらは水産物部卸売場です。
ここもカーテンで仕切れるようになっていますね。
天井には、さきほどの青果低温卸売場よりも大きな冷房器具が取り付けられています。
「ここではマグロのせりが行われています。マグロはほとんどが冷凍された状態で入荷されます。溶けて鮮度が落ちないように、冷やした空間の中でセリをするんですよ。せりは指やりと言って、指で値段を示して行われます」
マグロは超低温(-60℃)でキュッと凍らして運び、-50℃で保存するそうです。せりのときはまだ凍ったままなんですね。
「マグロの目利きは、冷凍した状態のマグロに光を当ててたり、一部身を取って指で感触を確かめたりして、鮮度や脂の状態を見て品定めします。マグロ以外の魚介類は、相対売で売買されます」
「マグロは骨をそぎ落として、スーパーへ、そして消費者へと供給されます」
この日はすでにせりが終わっていて、マグロを見ることができませんでした。
そこで、職員手作りという実物大のマグロを見せていただきました! 大きい!!
水産物部仲卸店舗売場
さてさて。
ここは水産物部仲卸店舗売り場と言って、仲卸業者の店舗が集まっています。
飲食店や小売業の方が買い付けにきます。
店舗によっては、個人で買えるような小ロットで販売している店舗もあります。販売単位が少数のお店で、「個人でも買えますか?」と尋ねてみてくださいね。
魚の仲卸さんは話しかけづらい雰囲気ですが、話してみると気さくな方が多く、美味しい食べ方を教えてくれることもあります。
私が取材中に教えてもらった話では、
「タイは、とにかく新鮮なのがいいという訳ではないよ。ねっとり感がいい、旨みが増したほうがいい、コリコリがいい…お客さんの要望に合わせて時間を見てさばくんだよ」と教えてくれました。
さすがプロですね!興味深い話が聞けました。
「-50℃の世界が美味しいマグロの決め手」
冷蔵庫棟
「さきほどマグロが-50℃で保存されるという話をしましたね。それがこの冷蔵庫棟です。
さ、中に入ってみてください。
「 氷の結晶で細胞膜を切ってしまうと、旨み成分が逃げてしまいます。超低温で冷凍することにより、細胞膜を壊さないまま美味しく食べられるんですよ。」
とういことで、-50℃の世界を体感してきました。
もう寒いというより、痛い!という感覚。
凍らないうちに出てきました…。
「私たちは、いかに美味しいまま食卓に出せるか。みなさんの食を満足させるためにいろいろな工夫をしています。食べたい人がより美味しく食べられるように技術を進歩させ、鮮度を保つために努力しています。」
「市場で働く人、買い物客に向けてさまざまな店舗が集合」
関連事業者店舗棟
冷蔵庫をあとにし、関連事業者店舗棟にやってきました。
市場で働く人と、買い物に訪れる人にむけた店舗が集まっています。
「市場で働く人は朝が早くて、通常の生活サイクルと比べると半日ずれている感じです。そのため、早い店では3時頃開店し、13時か14時には閉まります。飲食店、マッサージ、床屋もあるんですよ」
プロ御用達のお店から、一般市民も買い物ができるお店まで、約60の店舗が軒を並べます。
その中のごく一部をご紹介しましょう。
「う~ん。今日のランチは何にしようかなぁ」
働く方に向けて、ボリュームのあるメニューも多いという飲食店。もちろん一般の方も利用できますので、朝ご飯やお昼ご飯にいかがですか?
これで今回の見学は終わりです。
「市場は一般の方が立ち寄りにくいという印象が強いですが、中には一般の方もお買いものできる店舗もあります。皆様の食卓に美味しいお料理が並ぶように、私たちは日々努力と工夫を重ねていますので、旨いものが揃う市場・船橋市場へぜひ一度ご来場ください。」
重藤さん、今日はひろ~い市場を、たくさん見せていただいて、ありがとうございました!