7月27日土用の丑の日は美味しいうなぎを食べよう!「鶴長」
※鶴長さんは令和2年9月末日をもって惜しまれつつも市場業務を終了いたしました。
7月27日は土用の丑の日です!暑く厳しいこの季節を、うなぎを食べて乗り切りませんか?
良質で美味しいうなぎを取り扱うお店が市場にはあります!
今回特集するのは、船橋市場・水産物部仲卸店舗売り場にある老舗のうなぎ専門問屋「鶴長」さん。
金曜・土曜は焼きたての蒲焼を販売していますので特にお勧めです!
うなぎ職人の熟練技!専門店だからこそできる絶品の蒲焼に
船橋市場は業者の人達が多く出入りしています。鶴長さんがあるのは水産物部エリアの中でも特に出入りの多い、海老川に近い第7通路の角。お店に伺うと社長の大﨑ひとみさん、娘の大塚香菜さんが出迎えてくれました。
早速目に入ったのは、活きの良いうなぎ!!うなぎ職人のお二方が熟練の技を見せてくれました。
うなぎはお客様に提供するまで「裂き」「串打ち」「焼き」の3つの工程があります。
まずは「裂き」。うなぎは関東と関西では開き方が異なり、関東では「背開き」が主流です。関東では武士が多かったことで「切腹を連想して縁起が悪い」と言われ腹開きが敬遠されたと言われています。
裂いてくれたのは、この道50年のベテランの職人さん。20才の時から修業を積み、30年ほど前に鶴長の先代社長に声をかけられたとか。
70才を過ぎた今も毎日うなぎと向き合う日々。「定年なんてないからね。朝は3時前にはここに来るし、家に帰っても寝るだけ。ここでずっとこうしてるよ」とお話しながら、素早く裂いていきます。
裂いたうなぎは「串打ち」を。
簡単そうでとても難しい串打ち。うなぎの皮を下にして、まるで編むように身の真ん中に竹串を指していきます。やわらかく蒸しても壊れないように打つのは長年の経験が必要です。
「焼き」を見せてくれたのは、30年の経験を持つ職人さん。
関東のうなぎは一度目の焼の後「蒸す」という工程を挟み、最後にまた焼きます。蒸し器で15~20分蒸すことで、ふっくらと柔らかく仕上がるのです。
鶴長の蒲焼のタレは甘さ控えめ。甘すぎると食べているうちに飽きてしまうからだとか。
さらに砂糖が多く入っていると焦げやすく黒くなってしまいます。職人さんは若い頃「黒くするな、きつね色に焼け」と指導されたそう。絶妙な焼き加減で、香ばしく美しく焼き上げます。
7~8月は忙しい!!1日で一人600串焼くこともあります
今年の夏の土用は7月20日から8月7日まで。土用の丑の日は7月27日です。季節と季節の境目にあたり、体調を崩しやすい時期であることからうなぎはよく売れます。
鶴長でも7~8月が一年で一番忙しいシーズン。この時期の売り上げは年間の3分の2を占め、1日で一人600串焼くこともあるのだそう。
今うなぎの蒲焼はコンビニ等でも買えますが、専門店との味の違いは明らか。最近はうなぎの皮が嫌という人がいたり、うなぎ自体の価格が上がりうなぎを食べない人が増えていると言われています。
でもだからこそ、鶴長の”本当に美味しいうなぎ”を味わってみてください!
職人さんだから知っている!うなぎの美味しい食べ方
買ってきたうなぎの蒲焼、家で食べてみたら美味しくなかった…という経験はありませんか?
手軽に電子レンジで温めてしまいがちですが、固くなってしまうためできればやめておいた方が良いそう。
おススメなのは『炊き立てご飯を使った方法』。
まずうなぎの串を抜き、器にあたたかいご飯を盛りうなぎを乗せ、その上に更にご飯を盛ります。サンドイッチ状態になったまま3~5分。これでうなぎは丁度良く蒸されてふっくらあたたか。蒲焼のタレも程よくご飯に移り絶品だとか。
冷凍のうなぎの蒲焼の場合も、自然解凍してから同じ方法で蒸して温めます。
きちんと丼やお重でうなぎを楽しみたいのなら『フライパンで蒸す方法』を。
職人さんに教えていただいた方法は、フライパンに多めの水とうなぎの蒲焼を入れて、沸騰させたら弱火で約5分。添付のタレを加えて煮詰めて完成です。鶴長さんの公式HPではアルミ箔にうなぎを包みフライパンに入れ、少量のお酒を入れて弱火で蒸し焼きにする方法も紹介しています。
正しい知識とちょっとの手間でぐっと美味しくなります。ぜひお試しくださいね。
慶応3年創業、通信販売で全国各地にうなぎを届けます
鶴長は慶応3年(1867年)に創業、昭和42年に会社として設立しました。
「先代は主人でしたが、亡くなってからは嫁の立場の私が社長を継ぎました。
以前は主人のお母さんもお店に出ていましたが、昨年亡くなってからは私が帳場に座っています。」と大﨑さん。
おそらく今は6代目、だというのですから驚きです。
「昔と比べると、うなぎの値段自体が上がってしまい、お客さんもずいぶん減りました。
今配達に行っている従業員を加えると、ここでは5人が働いていますが、ピーク時には十数人働いていましたから。やっぱり寂しいですね。」
娘さんの香菜さんは小さな頃からここに来ていたのだそう。時代が流れても、お店の雰囲気が変わっても、ここが『実家』なのです。
「通信販売にも力を入れています。店頭で買う値段と同じで、他店に比べてもかなり安いのですが、安いことが怪しい…とも思われているようで(笑)。
ここのうなぎは美味しいです。
『子どもは、鶴長のうなぎしか食べない』という親御さんも来ます。自分が知らないくらい昔からの常連の方もいます。
お店に来ていただけたら、このお店のうなぎが本当に美味しいってことを分かってもらえると思います。」
うなぎは一年中食べられるもの。常連の方は時期に関係なくうなぎを購入し、年末に買う人も多いそう。
「土用の丑の日が過ぎても気軽に買いに来てほしいですね」とお話してくれました。
お店は早朝から開いております。
いつもよりちょっと早起きをして、美味しいうなぎを買いに市場に訪れてみませんか。
今回取材したお店
※写真や記事内の価格表記につきましては、令和元年6月の取材時のものです。