プロに聞いてみた!~お魚編~
月に1度、特集記事を掲載してまいります。
第4弾の今回は、魚を扱うこと数十年、魚のことを熟知した場内業者の皆様に魚の美味しい食べ方や豆知識などを伝授していただきました。
まずは、みんなが大好きな「マグロ」について
ズバリ!
美味しいマグロの選び方
赤身のキレイなもの、黒ずんでいないものがいいそうです。中トロや大トロなどの脂はお好みで。そして、やはり筋の少ないものがいいそうです。
しかし、マグロには、本マグロ(クロマグロ)、ミナミマグロ(インドマグロ)、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロ…と様々な種類があります。
その種類だけではなく、獲れた時期や海域、漁獲方法、獲れ高、養殖か天然か…いろんな要素で、マグロの味は変わってくるようなので、一言で「どれが美味しいか」というのは難しいようです。
(見て、買って、食べて、自分で覚えていくしかないですね)
一般家庭では冷凍マグロを購入することが多いので
冷凍マグロを上手に解凍するコツ
1.凍ったサクを塩分3%のお湯(60℃)に10分ほど漬ける。
2.表面が溶けたら、さっと水を切ってさらし(キッチンペーパー)で包んで冷蔵庫のチルド室で6時間ほど寝かせる。
ある温度帯を急速に通過させて、あとはゆっくり解凍するといいのだとか。
「今晩はマグロ!」と思ったら、朝から準備して、ゆっくり解凍しましょう。
この他にも、「氷水解凍」という方法もございますので、興味のある方はそちらも是非試してみてください。
ちなみに、
「マグロやカツオは泳ぎを止めたら死んでしまう」というのはホント、とのこと。
エラを自由に動かすことができないので、泳ぐことでエラに水を流し込まないと、窒息してしまうんだそうです。
和食にも洋食にも欠かせない「鮭」について
鮭とサーモンの違い
サーモンと鮭は、イコールです。
昔はほとんど生で食べることはなかったのですが、養殖技術が発達して生食も出来るようになり、生食用を「サーモン」と言うようになってきました。
ただ、アトランティックサーモンやノルウェーサーモン、キングサーモンは鮭ですが、価格の安い回転寿司などではニジマスの仲間であるトラウトサーモンがサーモンとして提供されていたり、いなかったりとか・・・。
ちなみに、「サーモンは白身魚です」って。(勉強になります!)
時鮭って?
「トキシラズ」のことです。一般的に鮭は川で卵から孵って海へ行き、その後3~4年経ってから産卵のために川に戻ってきたものを獲ります。川へ戻る前に海で獲れた3年ものの鮭が「時鮭(トキシラズ)」と呼ばれるそうです。川に戻るためにエネルギーを使い果たしてしまうので、その前に獲れば脂がのっている。「ケイジ(鮭児)」は2年物。小ぶりですがケイジの方が若くて脂がのっている。「幻の鮭」とも言われています。
鮭の漁師は、獲れた鮭を一目見て「トキシラズ(3年もの)」か「ケイジ(2年もの)」と、見分けることが出来るようです。(さすがプロ!)
ちなみに、養殖された鮭はあまり泳がないので、天然物に比べると尻尾が小さいのだそうです。
(一尾ずつを並べて見る機会があれば、ぜひ見比べてみたいものです)
ここからは、市場内を歩きながら、所狭しと並んでいる様々な魚介について、教えていただきました。
いろんな魚介の豆知識
エンガワってなに?
お寿司のネタとしてよく食べられるエンガワ。
エンガワとは、そもそもヒラメやカレイのヒレを動かす筋肉のことであり、食べるとコリコリとした舌触りが楽しめることから人気の寿司ネタとなっています。
一般的にエンガワといった場合、「ヒラメ」のエンガワを指すことが多いですが、最近ではカレイで代用することも多いようです。
ちなみに
「左ヒラメに右カレイ」と目の位置で見分けると言われていますが、目の位置以外も違いますよ。
並べてみれば一目瞭然!ほらね。
タコにも雄雌ってあるの?
脚の色や吸盤の数で雌雄を見分けます。
雄は8本の脚のうち1本が生殖器なので吸盤がありません。雄に比べて小さめな吸盤が整然と並んでいるのが雌です。
ブリの呼び名って地域で違うの?
出世魚としても有名なブリですが、地域によって呼び名が違います。
関東:ワカナゴ→ ワカシ→ イナダ→ ワラサ→ ブリ
関西:モジャコ→ ツバス→ ハマチ→ メジロ→ ブリ
(東北や四国、九州など地方各地にも違った呼び名があるようです)
イカの色が変わるってホント?
イカは死んだ直後は半透明ですが、時間の経過とともにあずき色や白色へと変わっていきます。
色で鮮度を見分けることが出来るんです。
タイが赤いのは海老や蟹をたべるからなの?
海老や蟹など「アスタキサンチン」という赤い色素を(殻に)多く含むものを餌としているので、鯛は赤いのです。
(※画像は鯛ではありませんが、色合い鮮やかなアマダイです。)
カツオは生きているときは縞模様がないの?
生きている時は縞模様がなく、無地の銀白色ですが、水揚げされてしばらくすると徐々にこの縞模様が体の側面に現れてきます。
ホタテ貝は性別が変わるの?
生まれた時は全て雄!
1年間は全ての固体が雄で、2年目頃から半数が雌に性転換します。
ミル貝はどこを食べるの?
二枚貝の王様とも言われるミル貝。貝殻からはみ出している長い水管(竿)の部分を湯通しして、皮をむき、切って食べます。
写真のように持ち上げると、竿の先から水がぴゅーっと噴出しました。
松川って何?
カレイの王様とも言われる「マツカワガレイ」です。目がある側についているウロコが松の幹の皮に似ているので「松皮→松川」というそう。天然物は幻ともいわれ、市場の人も何年かに1度しか見られないほど。
サンマに胃がないってホント?
通は「新鮮な秋刀魚はハラワタが美味い」といいます。サンマには胃がなくて腸が短いので、食べたものが体内に長時間留まらない。なので、内臓が痛みにくく、ハラワタまで食べることができます。
タラバガニは蟹ではない?!
生物学上はヤドカリの仲間です。脚が3対しか見えず、退化した1対は甲殻の下に隠れています。
タラが多く獲れるところにいたので、「タラバ(鱈場)蟹」になったと言われています。
やっぱり知りたい、魚を美味しく食べるための調理のコツ
「ちょっとしたひと手間で、グ~ンと美味しくなる」というポイントを石岡さんに教えていただいました。
煮魚
1.さっと熱湯にくぐらす(生臭さが消える)。
2.まず酒と砂糖で煮て(最初に甘みを入れる)、ひと煮立ちしたら醤油(とみりん)を入れる。
(煮魚におすすめのキンメ)
塩焼き(ぶり)
塩をふって30~40分ほどおき、水気が出てきたら丁寧にふき取って焼くと、旨みが凝縮される。
焼き(鮭)
粉をまぶしてから焼くと、旨みをコーティングして逃さない。
焼き(さわら、アマダイなどの白身魚)
日本酒にくぐらせてから焼くとうまい!
塩辛作りのポイント
ワタに塩をして身と混ぜると塩辛になるのですが、
寒い時期には、身はもちろんワタにも脂がのっています。旬の鮮度のいいイカの身を干してから使用する。また、ワタに塩をふって少しおくと、水分がぬけて味が濃くなるし、保存にもいい。(上級者向けですね)
包丁について
プロは魚のサイズに合わせた出刃包丁や刺身包丁を使い分けていますが、一般家庭では、普通の包丁でOK!とのこと。
よく切れるものを使用しましょう。
なんだか、自分でも美味しいお魚料理が作れるような気がしてきました。
市場を歩きながら、気になったものの食べ方を聞いたり、調理用にカットしてもらったり、市場の人との交流を楽しみながら、買い物してみましょう。
そうすれば、あなたもきっと、料理上手になれるはず。
最後に、船橋市場の自慢! と言えば…
「船橋で自慢できるのは、三番瀬のあさりと海苔とスズキ(鱸)です」
スズキと聞いて「え?」と思う方も多いかもしれませんが、船橋は「スズキの水揚げ量日本一」を誇るんだそうです。
一見強面の方々が働く市場ですが、勇気をだして質問すると、とても丁寧に答えてくださいます。
毎日様々な種類の魚介類が並ぶ市場には、まだまだ、知らないことがたくさんありそうですね。
みなさんもぜひ、プロにあれこれ聞きながら、美味いもの、美味しい食べ方を探してみてはいかがでしょう。
新たな船橋の魅力を発見してください!
今回お話を伺ったのは、
船橋魚市株式会社 常務取締役の河上陽二さん
と、仲卸業者の方々です。
どうもありがとうございました。
※これらは、市場で働く方々個人からの情報です。専門家による様々な見解がある場合もございますので、そのうちの一説としてお読みください。