幅広い用途もご提案! 昔ながらの食器屋さん「大西園」
市場と言えば魚や野菜などの生鮮食品をイメージする方が多いと思いますが、それらに無くてはならない重要な引き立て役が「食器」です。
盛り付ける器が異なるだけで、料理の見栄えも変わるもの。
今回はそんな食卓の彩りに欠かせない、和洋中の食器を取り扱う市場内の食器屋さんをご紹介します!
今では珍しい老舗の瀬戸物屋「有限会社 大西園」
銘茶和食器を販売する「有限会社 大西園」さんは、船橋市場正門からほど近い、関連事業者店舗棟の駐車場側にあるお店です。
入口にある大きな狸の置物が目印で、店内には所狭しと並ぶ陶磁器、漆器、ガラス食器の数々。
店主の大西隆太郎さんに、一押しのお皿やこれからの季節にお勧めの商品について、詳しくお話を伺いました。
通年で売れ行きが良いのは、小判皿!
大西園さんでは、使う側のニーズに合った食器を数多く販売しています。
その中でも一年中売れるというヒット商品は、「小判皿」だそう。
和食にも洋食にも合う渋めで上品なお皿で、水分が多めの料理でも乗せられる深めの形をしています。
機械で切ったようなスパっとした縁ではなく、どこかあたたかい手作りの良さを感じられる厚さと程よいごつごつ感。
用途を問わず使い勝手が良いお皿として好まれる理由がよく分かります。
実はこのお皿、土鍋をメインに作っている三重県四日市市の窯元が、春や夏でも売れるものを作ろうと発案したものだとか。「笑和」と書かれたシールが貼られており、その言葉からも窯元の願いが伝わります。
このシリーズは、雰囲気の異なるデザイン違いのものもありますが、それぞれがピッタリと重なることも大きな特徴です。個性ある形のお皿は確かに食卓にインパクトを与えますが、収納スペースが必要なため、飲食店や一般家庭でもあまり好まれないとのこと。
同じ形ならば家族4人で異なる4枚のお皿を使ったとしても、隣同士のお皿の雰囲気が異なるため、目で楽しむこともできますよね。「せとものは割れない限り使い続けられますが、それではいつか飽きてしまいます。お皿の柄がいくつかあれば、景色が変わって飽きることはありません。」と大西さん。
小判皿一つでも、それを使う人のシチュエーションが綿密に考えられ、作り手とそれを販売する店主の想いが込められているのです。
これからの季節におススメの食器
味覚の秋、旬の食べ物をより美味しく食べたくなる季節がやってきました。
もちろん店頭にもたくさんの季節ものの商品が揃っています。
ズラリと並ぶのは「秋刀魚皿」!
取り扱っているお皿は、一般的な秋刀魚皿より長辺が少し大きめの33、34センチ。
大きめの秋刀魚でもカットすることなく乗せることができる大きさで、薬味をたっぷり添えるスペースもあります。
「秋刀魚を乗せる以外には、お刺身の三点盛りやオードブルも良いですね。用途は一つだけではありません。ご自分で考えて下さってもいいんです」と大西さんのアドバイス。
秋刀魚皿、と言われると秋刀魚を乗せる以外に用途が無い皿、と思い敬遠しがちですが、その概念にとらわれる必要は無いのだそう。
また、これからの季節は「土瓶蒸し」がお勧め。
一般的に持っている人は少ない土瓶蒸しですが、松茸を美味しく味わうのならやっぱりこれだと大西さんは話します。
松茸やハモなどと出汁を入れて蒸す料理に使われますが、それ以外にも、キノコや鶏肉、白身魚を入れてもOK。取り扱っている土瓶蒸しは直火で温めることができるので、手軽に料亭のような食卓を演出できます。
土瓶蒸しとセットで付いているお猪口で味わう、美味しいお出汁。
何て贅沢なのでしょう!
最後にお勧めの椀もご紹介していただきました。
「いっぷく椀」と呼ばれる大きめの湯呑みです。
お茶を入れるのが一般的ですが、丸いフォルムがかわいらしくコーヒーやスープにも使えます。
これからの季節はぜんざいやおしるこにも良いそうです。
大西さんのお話を聞いていると、一つ一つの食器に物語があり、それがどれも奥深く面白い。
ついつい取材を忘れて聞き入ってしまいました。
三代目、時代を超えても愛されるお店へ
「私は船橋市場が誕生した年に生まれました。このお店はその頃からあり、私で三代目になります。」
そう話す大西さん。
かつては別の場所にもお店を構えていましたが、現在食器を販売しているのはこの市場の店舗のみ。
街には安い食器を取り扱うチェーン店などが増え、昔ながらの食器屋さんの多くは無くなってしまったそうです。
そんな時代を超えても大西園さんが愛されているのは、一般向け、店舗向けに、定番商品を押さえつつ、流行とお客様の要望に応えて品物を揃えていることが秘訣なのでしょう。
取材中、お店では何人もの常連さんが大西さんに声をかけていました。
店内には大西さん太鼓判のこだわりのお茶も販売しています。
ちょっぴり強面の大西さんが丁寧に淹れるお茶は香り高く、何とも美味しい!
「市場に来ると、いつも一番最後にこのお店に来るんです。お茶をいただいて、お話してから帰るんですよ」
そうおっしゃる常連さん。
「写真に映るのは苦手」とおっしゃる大西さんでしたが、そんな常連さんとお話しされる様子はとても活き活きとされていました。
初めての来店でも、不思議と懐かしさとあたたかさを感じられる空間。
大西園さんは、食器を探しているという人はもちろん、買い物ついでにちょっと立ち寄りたくなる、そんな魅力ある昔ながらの食器屋さんです。
今回取材したお店
●店名:有限会社 大西園
●詳細:https://funabashi-ichiba.jp/relation/5098/