市場への熱い想いと魚へのこだわりを持つ鮮魚店!「甚安水産」
船橋市場の水産物部仲卸店舗売場には、お寿司屋さんや和食屋さん、街の魚屋さんなどが早朝から買いに訪れます。市場は今年で開設50周年。市場で働く人は、時代とともに変わりゆく様子を感じながら様々な想いを抱えて今日もお店に立っています。
今回は船橋市場で鮮魚を取り扱う「甚安水産」の茂一さんに、市場やお店のこと、想いや本音をうかがいました。
安さを売りにはしたくない、良い魚を求めてきてほしい
甚安水産は、船橋市場の水産物部仲卸店舗売場の1号通路、駐車場側から見て一番手前にあるお店。市場に正門から入ると、最初に着く鮮魚のお店です。
出迎えてくれたのは店主の茂一さん、同級生である従業員のヤスさん、リーダーと呼ばれている茂一さんの弟さんの3人。皆「JINYASU」と書かれた色違いのTシャツを着ており、仲の良さをうかがい知ることができます。
お店は祖父の代に創業。船橋港付近でお店を始め、船橋駅北口の魚市場を経て、船橋市場ができた当初からお店を構えています。先代が亡くなるのが早かったため、それ以降は3人で協力し合いお店を続けてきました。経営は決して楽ではなく、先代が亡くなった際はお店を継がない方が良いという専門家のアドバイスもあったといいます。
かつては定期的に激安の特売日を設け、テレビ取材が来るなど注目されましたが、お客さんは特売日にしか足を運ばず、日常的に買いに来てくれるようになったのはたった数人。特売日は赤字になることも多く、これでは効果がないと今は辞めてしまったそうです。
「当時はタイムセール前になるとお店の前にたくさんのお客さんが待っていた。はっぴを着て、旗をたてて、ずいぶん盛り上げてやっていたよ」と話す茂一さん。
甚安水産は2店舗分の敷地を所有していますが、ロスが出ないようにお店に並べる鮮魚の量は決して多くはしていないといいます。
扱っていないものでお客さんが欲しいものがあれば、他のお店で買うように言うことも。
「船橋市場を盛り上げたい、他のお店と潰しあうのではなく共存したい」
そういう想いをもっているからこそ、今は自分のお店だけで行う特売はせず、”充電期間”に充てていると話します。
「うちにあるものはうちで買って、うちにないものはよそで買ってくれていい。
お客さんを独り占めにしないで他のお店も寄ってくれたら、そのお店の売り上げも上がるからね。
ただ、他のお店と値段だけを比較しないで欲しい。他のお店より安かったからここで買うといった値段のみを天秤にかけるのではなく、お店を総合的に見て欲しい」
激安特売をしていた過去があるからこそ、値段だけではない、魚の良さや価値を知ってほしいと考えているのです。
家族のような関係を持つ、常連のお客さんたち
取材中に、お店には何人もの常連さんが立ち寄る姿が見られました。彼らと弾む会話と笑顔から”距離が近い”のが伝わってきます。
茂一さんいわく、ここに通うお客さんとは「家族のような関係」を築いているそうです。
お客さんが求めていることには誰よりも親身になって応えてあげる。そのような商売を続ければ、逆にこちらが助けてほしい時は手を差し伸べてくれる。
鮮魚の単価だけを見ると他店と比べて安くはないそうですが、常連のお客さんが結果的に安く仕入れができるように工夫しているといいます。
「鮮魚屋というのは厳しい面がある。例えば舟盛りでメインとなるのはやっぱりマグロ。高くても売れる。
だからマグロ専門のお店と売上額で比較すると負けてしまう、でもこれはしょうがないこと。
うちは品数は少ないが、様々な魚のことを把握し情報を持っている自信はある。
良い魚というのは日々変わるので、最初にうちに寄ってくれたらそういった情報を教えてあげられるかな」
お客さんには売り物の魚を大切に扱ってほしい
甚安水産のこだわりとして、お客さんにもモラルを大切にしてもらいたいとのこと。お客さんといえど「商品の魚を雑に扱うこと」に関しては、茂一さんは強い憤りを感じるといいます。
例えば魚を必要以上にいじったり魚を触った後ポンっと無造作に戻す動作は、大切な商品である魚に負荷がかかってしまうとのことです。
魚を大事に取り扱ってくれるような、プロ意識を持ったお客さんを大事にしたいと茂一さんは熱く話してくれました。
美味しい魚、旬のものやおすすめ品、何でも教えます!
取材に訪れた日は時化で魚が少なかったのですが、甚安水産には良い魚、珍しい魚がそろいます。
毎年この時期はサンマが並びますが、今年は不漁でできが悪い、とのこと。かつおも旬ですが、値段の変動が激しいため、日々値段が変わるのが現状だそうです。
この日のイチオシは「生のぎんだら」!
ぎんだらは冷凍のものが一般的ですが、生のぎんだらは一度食べるともう冷凍ものは食べられないくらい絶品だとか。刺身がお勧めですが、西京焼きや煮つけにしても美味しいそうです。
その他にお勧めのものとして、かつおのたたき、イシガキダイ、珍しい「はも醤油」などもありました。
茂一さんとお話ししていると、市場への熱い想いを感じられました。市場が好きだからこそ何をすべきなのか…そう考えている様子がとても印象的でした。
お店は早朝から開いていますが、一般のお客さんは比較的落ち着く9時頃のご来店がおすすめ。熱い想いとこだわりをもつ甚安水産に、美味しい魚のこと、市場のこと、是非聞きに来てみてください!
今回取材したお店
有限会社 甚安水産
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